子育て、子安などに霊験あらたか
岩船地蔵尊は、圓照寺境内の地蔵堂にまつられている地蔵坐像。子育て、子安などの御利益で知られ、毎年8月26日に祭りを催している。祭りは戦前から行われ、戦時中に途絶えたものの、昭和21年に復活。今年で65回を数えた。
午後6時、本堂で地蔵供養・法話が行われ、6時30分、梵鐘の音を合図に祭りは始まった。住職によるお焚き上げ、講の御詠歌、子どもたちによる献灯などが行われ、後半は岩本園職員の火舞いや比奈・第六天太鼓などのアトラクションが会場を盛り上げた。
岩船地蔵像は黄金色に輝く坐像で、蓮華座に坐し、左手に如意宝珠、右手に錫杖をもつ。背に円光光背があり、瓔珞はない。小ぶりだが姿はよく、面立ちは優しげながら尊厳を感じさせる。
この地蔵尊の縁起や製作年代は詳らかでない。ただ、いまはおおよそ次のように推察されている。
(1)在地の江尾はかつて浮島沼の北辺だった(地名は立地に由来する)。往時は小舟による往来もあったといい、その安全――岩のように盤石な舟運――を願い、奉られたのでは。
(2)死者の霊が集う霊場として知られる岩船山高勝寺(栃木県岩舟町/天台宗)から勧請したのでは。年代は、岩船地蔵が流行した享保年間(1716~35)ではなかろうか。
山門前や境内に露店ならぶ
午後6時から本堂で地蔵供養・法話
住職によるお焚き上げ
講の御詠歌
献灯
勇壮な火舞い
比奈・第六天太鼓