熱原山本照寺のカヤ
◇・・・熱原山本照寺(富士市厚原)の赤い山門の後ろに、カヤの古木がたかだかとそそり立つ。市天然記念物だ。市内に天然記念物のカヤは3本あり、残り2本は厚原曽我寺と一色にある。
◇・・・本照寺のカヤは、昭和56年時点で樹高16.5m、目通り3.0m。灰褐色の幹が真っ直ぐにそそり立ち、とても力強く端正な姿。樹勢は旺盛で、たくさんの細い枝から濃緑色の葉を茂らせている。
◇・・・案内板によれば、平野部のカヤとしては曽我寺に準ずる巨木だという。確かに曽我寺のそれ(樹高25m以上)には及ばないが、私見では一色のカヤと同等の大きさと感じる。
船津浅間神社のクス
◇・・・クスノキは西日本から関東の暖地に生育する常緑高木。富士市にも古くから自生し、昭和43年、「市民の木」に制定された。市内のクスのうち、天然記念物指定は5本。県指定が三日市浅間神社、市指定は船津浅間神社、鵜無ケ淵神明宮、今泉十王子神社、横割八幡宮にある。いずれも御神木に相当する大木だ。
◇・・・船津浅間神社のクスは、手水舎のかたわらにそそり立つ。同社社叢は市保存樹林だが、なかでも天然記念物のクスはひときわ姿が良く、枝ぶりもみごと。あきれるほど太い幹をまっすぐ空へのばし、はじけた花火のように緑葉を広げている。
◇・・・データは、昭和58年時点で樹高30m、目通り4.05m、枝張は東西20m、南北10m。今はいっそう大きいのだろう。
神谷神明宮のムクノキ
◇…神谷神明宮(富士市神谷)の御神木。同種中、市内第一の老木にして、目通りは県下でも最大級という。いびつに盛り上がった樹幹が、角度によってまったく異なる表情をみせる。昭和45年12月、富士市天然記念物に指定された。
◇…昭和58年12月の時点で、樹高24m、目通り7.1m、枝張りは東西14.7m・南北16.2mという立派な姿だった。ただ、当時から大きなうろがあるなど樹勢は弱く、いまはいっそう衰弱している。枯れてきた上部を切り、樹皮のくずれた幹を保護し、枝を支えて、かろうじて姿を保っている状態。まさに満身創痍、倒れそうな体を必死にささえる老兵を見ているようで、せつない気持ちになる。
富豊七神社のスダジイ
◇・・・粒良野集落の氏神、富豊七神社の御神木。かつてこの地方を広く覆っていたヤコブコウジ・スダジイ群集の残存林の中心樹であり、そばにはスダジイの再生林も広がってる。
◇・・・根回り7m、胸高幹周囲5.43m、樹高13m。斜面のへりに力強く根をはり、太い幹は重ねたタオルを力いっぱい絞ったようにぎゅっとねじれている。精悍なフォルムは、スポーツ選手の鍛えぬいた肉体美に近い。幹にうろができ、上部で折れているようにも見えるが、まだまだ生気にあふれている。
◇・・・この木は、「粒良野の大家」と呼ばれる稲葉家が植えた、と伝わっている。いわく、稲葉家の兄弟2人が関ヶ原の戦いに参加したさい、家族は無事を願い、朝夕富豊七神社に祈った。そのかいあって兄弟は無事帰郷。稲葉家は「氏神様のおかげ」と感謝し、スダジイを植えた――。伝承に従えば、樹齢400年以上になる。
十王子神社のクス
十王子神社のイチョウ
中比奈天神社の玉乃木
黒田八幡宮のイチョウ
荒木神社のクスノキ

◇…往来を背に2基の鳥居をくぐると、右手に樹高20mをこすクスノキがそそりたつ。まだ若い木のようで樹勢は旺盛、主幹はふとくて力強く、葉はみつに繁茂している。クスノキの大木には奇形がおおいが、この木はまっすぐのびた端正なかたち。
◇…「樟/楠」。クスノキ科の常緑高木。暖地に生育、樹高20m以上に。
後富山平等寺のイチョウ

◇…剪定されたのだろうか、長い枝は見当たらない。けれども、数多の小枝がびっしりと前身を覆い、枝ぶりに合った可愛らしい葉を茂らせている。近くで見ると、伸びた坊主頭、あるいははりねずみのよう。
◇…「公孫樹/銀杏」。イチョウ科の落葉高木。中国原産、雌雄異株。 ぎんなんと呼ばれる実は食用。