大久保 八幡宮
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名称 所在 静岡県富士宮市北山字大久保4160
主神 応神天皇 配神 月読尊(『富士郡北山村誌』)
創建 不詳 例祭 9月15日(陰暦)
敷地 本妙寺境内 社格 旧無格社
神徳 五穀豊穣・厄除けほか
交通 JR富士宮駅より北7.5km 駐車場有
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本妙寺境内に鎮座
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社殿側面 |
北山の大久山本妙寺(日蓮宗)境内に八幡宮が建つ。大久保や小野沢など付近一帯の鎮守で、主祭神に応神天皇、相殿に月読神を祀る(『富士郡北山村誌』)。本妙寺の鎮守堂然とした佇まいながら、同寺とは別に神社本庁包括の宗教法人として登記している。
社殿は、本妙寺本堂の左手。寺域を縁どる杉桧の木立へ食い込むように、本殿と拝殿が連なっている。本殿はスリムな平入り、一回り大きい拝殿は入母屋造り。ともに平成8年再建と新しく、白壁もきれい。「母屋」たる本妙寺本堂に比べれば小さいが、なかなか端正だ。
ただ鳥居や狛犬、社号標・神額といた装飾はなく、神社らしさを感じさせる部分といえば向拝の注連縄くらい。この部分では、ひどくあっさりとした印象である。
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社殿全面 |
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社殿と本妙寺本堂 |
当八幡宮はもともと他所で祀られていたといい、大正9年編纂の『富士郡北山村誌』には60年前に遷座した、と載る。だいたい幕末のころとなる。
創祀年月を示す資料はないが、棟札を多数残しており、最も古いものは江戸前期の明暦3年(1657)12月。いずれも法華曼荼羅で、ほとんど本妙寺の住職により納められている。日蓮宗は八幡神を護法神として積極的に祀ったが、当八幡宮も現在地に遷る前から本妙寺によって管理されていたようだ。
以下、棟札から変遷を追ってみる。
元禄10年(1697)に「奉勧請月読神擁護所」。このとき月読神を勧請、あるいは神座を再造営したらしい。富士地区では月読神はたいへん珍しい。
享保14年(1729)雨屋を建て、明和4年(1767)拝殿を再造営。享和元年(1801)拝殿修復、文化13年(1816)鳥居などを造り、明治44年に屋根を葺き替えた。願主や世話人に大久保、小野沢、町屋、下宿など周辺地域民が名を連ねている。
なお安政3年(1856)の棟札のみ、本妙寺の本寺・重須本門寺が納めている。さらに名を連ねる世話人・大工の数が多い。先に触れた八幡宮遷座の時期と重なることから、これが遷座時の棟札かもしれない。
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参考文献 富士郡北山村誌、富士郡神社銘鑑、本門寺並直末寺院縁起、北山区のあゆみ、富士宮市の棟札集成、富士宮市の伝統建築 |
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