岩本山実相寺 塔頭碑
岩本実相寺の表参道の中ほどに、「真乗院」「常在院」と刻まれた石碑が立つ。いずれも同寺にあった塔頭の寺号標である。
開基は六老僧日持、日興
真乗院は六老僧日持、常在院は六老僧日興の開基と伝えられている。両人とも日蓮の最高弟であり、日蓮が一切経閲読のため実相寺に入ったころ、ここで修行をしていたとされる。
真乗院の碑は、文久2年(1819)6月11日銘。影山氏が久本院妙遠信女の追善に建立し、「当院22世恵山日法謹書」の銘もある。「当院」とはむろん真乗院のことだろう(実相寺は36世の代)。一方、常在院の碑は文化4年(1807)11月銘で、岩本や貫戸、万野の人々による建立。「19世恵明院日憲」の銘もある。
真乗院は明治41年、長崎県長崎市蚊焼町の「清浄結社蚊焼教会」に寺号を移し、大法山真乗院となった。常在院も明治22年、山形県東置賜郡高畠町に移転再興。岩本山常在院となっている。
その他の塔頭
両院の他にいかなる塔頭があったかは、手もとの資料になく分からない。ただ、万野八幡宮の年不詳9月の再建棟札に「駿州岩本山塔中宝樹坊」の名がみえる。「宝樹坊」があったことは間違いない。また上伊奈山神社の旧社殿は、正徳元年9月「真乗院日清」によって建立された。真乗院の僧だったのかもしれない。
上伊奈山神社の旧社殿
参考文献 岩本山実相寺項と同じ
(フォト最終撮影日:岩本山実相寺項と同じ)