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浅間御子明神

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『駿河國神名帳』に「淺間御子明神」なる神々がたくさん列記されている。いずこの神か探ってみた。

駿河國神名帳

駿河国には『駿河國神名帳』が残る。これは国内神社の神階を記したもので、富士山本宮浅間大社を筆頭に316所の神(神社)が神階ごとに列記されている。むかし、国司は任国の主要神社巡拝を例とし、国内神社の管理・祭祀の任務も負い、必要に応じ奉幣などを行った。国内神名帳はこれらに用いられた公簿と考えられている。

駿河国は志太郡、益頭郡、有度郡、安倍郡、庵原郡、富士郡、駿河郡に分かれている。富士市・富士宮市は、富士郡全域および庵原郡と駿河郡の一部にかかる。ここでは、富士郡の神社、とりわけ「淺間御子明神」に焦点をあてる。

『駿河國神名帳』でみる富士郡の神社
【諸郡中明神天神神名帳事】
正一位上一所
淺間大明神 坐富士郡
正三位十八所
淺間第一御子明神 坐富士郡
第二御子明神
第三御子明神
第四御子明神
第五御子明神
第六御子明神
第七御子明神
第八御子明神
第九御子明神
第十御子明神
第十一御子明神
第十二御子明神
第十三御子明神
第十四御子明神
第十五御子明神
第十六御子明神
第十七御子明神
第十八御子明神 坐同郡
従三位
淺間第三御子明神 坐富士郡
正五位下天神
富士郡七所
少淺間天神
福地天神
委文天神
織委文天神
保度天神
富士河天神
新山天神
【諸郡中地祇名帳事】
従五位上地祇百六十七所
富士郡十四所
安和地祇
楊沼地祇
一根地祇
地別地祇
大石地祇
國玉地祇
事任地祇
佐々矢地祇
鶏山地祇
福地地祇
安部大富子地祇
手島地祇
湯山地祇
佐々河地祇

以上が、『駿河國神名帳』に載る富士郡の神(神社)。天神27所(正一位1所、正三位18所、従三位1所、正五位下7所)、地祇14所(従五位上)の合わせて41所となっている。

ただし、社名は記されておらず、該当社がいずこにあるかは判然としない。唯一、正一位淺間大明神は富士山本宮浅間大社で間違いなく、ほかは少淺間天神=小浅間神社、委文天神=倭文神社、福地天神=富知神社、富士河天神=木之元神社などが有力視されている。

浅間御子明神

では、「浅間御子明神」はいずれの神(神社)なのだろうか。

結論からいってしまえば、全容はよく分からない。名からして浅間大社ゆかりの御子神に相違ないが、同社関連の史料ではさほど言及されていない。ただし、こんにち浅間御子明神を祀るいつくかの社は、いずれも浅間大社の摂社(元も含む)で、「○之宮」「○王子」などと呼ばれてきた。浅間大社とよほど近しい存在なのは間違いない。

『駿河國新風土記』の考察

江戸後期の地誌『駿河國新風土記』が、浅間御子明神を考察している。これをもとに該当社をさぐってみよう。

『駿河國新風土記』は、浅間神社&浅間御子明神に関して

「当国七郡のうち此神を祭れる社一百四社あり、又此神を相殿となせし社はかぎりなし、其なかに重立たる社富士郡大宮 六所 村山あり、諸郡神名帳を案るに明神三十三所~~~(中略:浅間御子明神の考察)~~~一郡のうちに三位以上の社二十社いますこと異なる故のありし故なり、今の世までも崇敬ましまして大宮六所米宮村山の神領一千七百石余なり~~」

と載せている。浅間御子明神考察の部分は長いため省くが、次の各社を論社にあげている。

  • 正三位淺間御子明神
    • 三の御前
    • 七の御前
    • 六皇子明神
    • 二の宮
    • 悪王子社
    • 十王子権現社
    • 六所浅間社(6柱)
    • 原田浅間社
    • 日吉浅間社
    • 入山瀬村浅間社
    • 今宮村浅間社
    • 米之宮浅間(2柱:第八、第十八御子)
  • 従三位淺間御子明神
    • 三御前の松あるいは村山
  • 正五位下少淺間天神
    • 若の御前

一応、つじつま(数)は合っている。

が、よく見ると強引なところもある。例えば「正五位下少淺間天神」の「若の御前」。この社は若之宮浅間神社を指すと思われるが、同社は別名「一王子」といい、浅間第一御子神を祀っている。また「正五位下少淺間天神」は、小浅間神社が有力視されている。

諸々をかんがみれば、若の御前は「正五位下少淺間天神」ではなく「正三位淺間第一御子明神」が正しいのだろう。

若之宮浅間神社が「正三位淺間第一御子明神」だとすれば、「正三位淺間御子明神」候補が計19所となってしまう。

また『駿河國新風土記』と同時期に編さんされた『駿河志料』は、次の各社も「正三位淺間御子明神」として挙げている。

  • 金之宮
  • 阿字神社

この2社を含めれば、候補は21所だ。

また富士郡下には、「王子」と名のつく神社がほかにもある。

  • 五大王子(五躰王子)
  • 飯酒王子社

金之宮は浅間大社の旧末社で、飯酒王子社は浅間大社末社(いまは内陣に合祀)。また阿字神社と五大王子(五躰王子)のいずれも浅間大社と関わりをもっている。候補として申し分ないだろう。

これで候補は23所。イスの数より5所多くなってしまった。

そこで、六所浅間社(6柱)を(1柱)に減らしてはどうか。

たしかに六所浅間は6柱を祀るが、主祭神は1柱のみで、残りは配神である。六所浅間社(1柱)とすれば、ぴったり18所だ。(笑)

無理やりではあるけれど、これを当ブログ的「正三位淺間御子明神」(候補)としておく!

富士おさんぽ見聞録的「正三位淺間御子明神」(候補)
  • 正三位淺間御子明神
    • 一之宮浅間神社(若の御前)
    • 二之宮浅間神社(二の宮)
    • 三之宮浅間神社(三の御前)
    • 杉田浅間神社(五躰王子)
    • 六王子神社(六皇子明神)
    • 七之宮浅間神社(七の御前)
    • 米之宮浅間神社(2柱:浅間第八、第十八御子)
    • 悪王子神社
    • 十王子神社
    • 富知六所浅間神社(六所浅間社)
    • 瀧川神社(原田浅間社)
    • 日吉浅間神社
    • 入山瀬浅間神社
    • 今宮浅間神社
    • 金之宮
    • 阿字神社
    • 飯酒王子社
正一位上 淺間大明神
◇所在地/富士宮市宮町1-1
◇主祭神/浅間大神◇社格/式内社、駿河国一宮、旧官幣大社
富士山本宮浅間大社
正三位 淺間御子明神・・・の候補
◇所在地/富士宮市元城町32-28◇主祭神/浅間第一御子神◇旧社格/無格社
◇備考/元浅間大社摂社
若之宮浅間神社
◇所在地/富士宮市光町2-1◇主祭神/浅間第二御子神◇旧社格/無格社
◇備考/元浅間大社摂社
二之宮浅間神社
◇所在地/浅間大社境内◇主祭神/淺間第三御子神
◇備考/浅間大社摂社
浅間神社
◇所在地/富士宮市杉田456◇主祭神/木花開耶姫命◇旧社格/村社
◇備考/旧称は「五大(五躰)王子」「富士山王子姫宮大権現」。祭礼に浅間大社神官が出張した
浅間神社
六王子神社
◇所在地/富士市中柏原新田172◇主祭神/六王子神◇旧社格/村社
◇備考/浅間大社も関わる三股淵伝説の関連社
六王子神社
◇所在地/浅間大社境内◇主祭神/淺間第七御子神
◇備考/浅間大社摂社
浅間神社
◇所在地/富士市本市場582◇主祭神/木花開耶姫命(浅間第八、第十八御子神)◇旧社格/郷社
◇備考/元浅間大社摂社
米之宮浅間神社
◇所在地/富士宮市阿幸地434-1◇主祭神/火之御子神◇旧社格/無格社
◇備考/元浅間大社末社
悪王子神社
◇所在地/富士市今泉1894◇主祭神/十王子神◇旧社格/村社
◇備考/浅間大社も関わる三股淵伝説の関連社
十王子神社
◇所在地/富士市浅間本町5-1◇主祭神/大山祗命◇社格/式内社、旧郷社、別表神社
◇備考/例祭に国方奉幣使が参向
富知六所浅間神社
◇所在地/富士市原田字瀧川1309◇主祭神/木花之佐久夜毘賣命◇旧社格/郷社 瀧川神社
◇所在地/富士市今泉1436
◇包括/単立◇主祭神/木花咲耶姫命、大山咋神◇旧社格/村社
日吉浅間神社
◇所在地/富士市入山瀬344◇主祭神/木花之佐久夜毘賣命◇旧社格/村社
◇備考/例祭に国方奉幣使が参向
浅間神社
◇所在地/富士市今宮387
◇主祭神/木花之佐久夜毘買命◇旧社格/村社
今宮浅間神社
◇所在地/富士宮市淀師字金之宮1381-1◇主祭神/木花之佐久夜毘賣命◇旧社格/村社
◇備考/元浅間大社末社
金之宮
阿字神社
◇所在地/富士市鈴川町12-35◇主祭神/阿字神◇旧社格/無格社
◇備考/浅間大社神職が大祭に先立ち参拝
阿字神社
◇所在地/浅間大社内◇主祭神/不詳
◇備考/元浅間大社境内社。現在は内陣に合祀
浅間神社
従三位 淺間御子明神・・・の候補
◇所在地/富士宮市村山字水神1151◇主祭神/木花之佐久夜毘賣命◇旧社格/県社
◇備考/元浅間大社摂社
村山浅間神社
正五位下 少淺間天神・・・の候補
◇所在地/富士宮市弓沢町791◇主祭神/火須勢理命(または木花之佐久夜毘賣命)◇旧社格/無格社
◇備考/元浅間大社末社
小浅間神社

十王子権現社に関して、『駿河國新風土記』は大久保村(富士宮市大久保)十王子社をあげている。けれど、同社は江戸中期には八幡宮として祀られ、十王子社の臭いはない(いまも八幡宮)。『駿河志料』は、大久保村十王子社を候補にあげつつも、今泉村(富士市今泉)十王子社の方が古く濃厚ではないか、と考察している。

なお、米之宮浅間神社を1柱と考えるならば、あとは八王子神社(富士市大渕)あたりが候補か。ただしこちらは仏教系の八王子である可能性も高そうだ。

参考文献 駿河記、駿河国新風土記、駿河志料、駿國雑志、浅間神社の歴史、ほか各社の資料
(フォト最終撮影日:各社と同じ)
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