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富士山周辺の主なる浅間神社

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わが国が世界に誇る富士山は、古くから神聖視された存在だった。この霊峰を「神」と崇める信仰を浅間信仰(富士信仰)といい、お膝元の駿河・甲斐両国には、総本宮の富士山本宮浅間大社を筆頭に多くの浅間神社が鎮座している。この頁では、駿河・甲斐両国の浅間社のうち近代社格において県社以上だった神社を紹介する。

  1. 浅間神社の沿革
  2. 浅間神社の分布
  3. 富士山周辺に鎮座する主な浅間神社
  4. 関連リンク・参考文献
浅間神社の沿革

浅間神社の史料上の初見は『文徳実録』。仁寿3年(853)7月5日条に「駿河国浅間神預於名神」とあり、駿河国浅間神、つまり富士山本宮浅間大社が名神(特に霊験が著しい神に対する称号)に列している。さらに直後の13日条に「特加駿河国浅間大神従三位」とあり、富士山本宮浅間大社は従三位を授けられた。

続いて『三代実録』の貞観元年(859)条で正三位へ昇叙し、貞観6年(864)の富士山噴火の項では、「富士郡正三位浅間大神大山火」「駿河国大山。惣有暴火」と載っている。これらの記述から察するに当時、富士山は駿河国に属すると認識され、それを鎮める官社として富士山本宮浅間大社が祀られていた。

富士山本宮浅間大社

翌年の貞観7年(865)になると、甲斐国にも浅間明神が祀られた。経緯は『三代実録』に詳しく、概略すると貞観6年の富士山大噴火の原因を占ったところ「富士山本宮浅間大社の祢宜や祝(神職の名)の斎敬怠慢のせい!o(*≧д≦)o」とでたため、甲斐国にも浅間神社を建てて祀ることになった――と述べられている。

この時、八代郡と山梨郡に1社ずつ祀られた。該当社と目されるのは河口浅間一宮浅間などである。いわば北口における根本社といえ、河口浅間は明治以前、「富士山北口本宮極位浅間神社」「富士山北室本宮」などと称した。延喜式では「駿河国富士郡浅間神社(=浅間大社)」と「甲斐国八代郡浅間神社」が名神大社に列している。

河口浅間神社

甲斐国に2社祀られたのは、まず富士山そば(八代郡)に1社祀って山霊をなだめ、さらに国府そば(山梨郡)にもう1社祀って万全を期したのだろう。駿河国においても延喜元年(901)、醍醐天皇勅願により富士山本宮浅間大社の分祀が国府に祀られ(富士新宮=静岡浅間神社)、爾来代々の国司があつく尊崇していた。

下って平安末期ごろになると、富士山は遥拝だけでなく、登拝対象にもなった。修験者や修行僧たちによって各地に登山道が開かれ、その起点に浅間神社が祀られていった。村山口の村山浅間神社、須山口の須山浅間神社、須走口の冨士浅間神社、吉田口の冨士御室浅間神社北口本宮冨士浅間神社などである。

北口本宮冨士浅間神社

また官や宗教家以外の、富士山を日々遥拝している一般人の間にも浅間信仰は浸透し、人々は産土神としてこれを各郷に祀った。やがて時代が下るにつれ浅間信仰は全国へ広まり、室町期ごろには盛んに富士登拝が行われていたという。ことに江戸期、関東圏で富士講が大流行すると、浅間神社は数多く祀られるようになった。

浅間神社の分布

昭和初期の『浅間神社の歴史』によれば、全国の浅間神社は1,316社で、畿内3、東海道943、東山道345、北陸道3、山陰道4、山陽道1、南海道1、西海道14、北海道2。

1位の東海道は全国総数の7割2分足らず、2位の東山道は2割6分余りを占め、この2街道で全体の9割8分に達している。

東海道を都道府県別にみると、三重25、愛知57、静岡150、山梨66、神奈川33、東京60、埼玉185、千葉257、茨城109。意外なことに1位は千葉、2位は埼玉となり、静岡、山梨は3位と5位。

一方、これらを郷社以上に絞ると、三重0、愛知1(郷1)、静岡12(官国2、県2、郷8)、山梨7(官国1、県3、郷3)、神奈川0、東京2(郷2)、埼玉0、千葉0、茨城0となる。社格の高い神社は、そのほとんどが静岡・山梨両県に鎮座している。

つまり、富士山のお膝元たる静岡・山梨両県は古社を抱えているため、自然と社格の高い神社が多い。一方、神奈川・東京・埼玉・千葉・茨城などの浅間神社は、そのほとんどが江戸期の富士講流行で祀られた。これらは歴史浅く小規模なため、社格はふるわないが、爆発的に数を増やしたことがうかがえる。

富士山周辺に鎮座する主な浅間神社

先の『浅間神社の歴史』によれば、富士山を擁する駿河・甲斐両国には189社(駿河国123社、甲斐国66社)の浅間神社が祀られている(昭和初期時点)。縁起的に重要な社は数あれども、ここでは近代社格で県社以上に列した8社を紹介する。

近代社格

維新後、『延喜式』にならって作られた社格制度。大戦後に廃止されたが、いまなお神社の格を表す材料として用いられている。弊ブログも、各社のデータ欄に記載している。

社格は、官社と諸社、無格社に分けられた。

官社は、祈年祭・新嘗祭に国から奉幣を受けた。官幣社と国幣社があり、それぞれ大、中、小の格に分けられていた。

諸社は、府・県社、郷社、村社に分けられ、それぞれ府・県、市などから奉幣を受けた。無格社は村社に至らない神社。

つまり、官幣社>国幣社>府・県社>郷社>村社>無格社の順。

官社
社格 社名 所在地 備考
官幣大社 富士山本宮浅間大社 静岡県
富士宮市
総本宮
式内社 駿河国一宮
別表神社
国幣中社 一宮浅間神社 山梨県
笛吹市
式内論社 甲斐国一宮
別表神社
国幣小社 静岡浅間神社 静岡県
静岡市
駿河国惣社 別表神社
諸社
社格 社名 所在地 備考
県社 河口浅間神社 山梨県
富士河口湖町
式内論社
県社 北口本宮冨士浅間神社 山梨県
富士吉田市
別表神社
県社 冨士御室浅間神社 山梨県
富士河口湖町
別表神社
県社 冨士浅間神社 静岡県
小山町
県社 村山浅間神社 静岡県
富士宮市

より大きな地図で 富士山周辺の主なる浅間神社 を表示
富士山本宮浅間大社
浅間大社のエントリーへ

浅間神社の総本宮。富士山を神体山とし、山頂に奥宮が鎮座。太古、富士山麓で創祀され、山宮を経て大同元年(806)に現在地へ遷座。朝廷・武家から崇敬され、現社殿は徳川家康の再建。◆所在地/静岡県富士宮市宮町1-1。主祭神/浅間大神。社格/式内社、駿河国一宮、旧官幣大社。

一宮浅間神社
一宮浅間神社のエントリーへ

『三代実録』貞観7年(865)12月9日条で官社に列した「浅間明神祠」の論社。平安後期から甲斐国一宮として確立し、中世は武田・徳川両氏など武門からあつく敬われた。◆所在地/山梨県笛吹市一宮町一ノ宮168。主祭神/木花開耶姫命。社格/式内論社、甲斐国一宮、旧国幣中社。

静岡浅間神社
静岡浅間神社のエントリーへ

神部神社・浅間神社・大歳御祖神社を同一境内に祀る。駿河国惣社として今川氏や徳川氏からあつく信仰された。現社殿群は19世紀の再建、26棟が国重文。◆所在地/静岡県静岡市葵区宮ヶ崎町102-1。主祭神/大己貴命・木之花咲耶姫命・大歳御祖命。社格/駿河国惣社、式内社、旧国幣小社。

河口浅間神社
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『三代実録』で官社に列した「浅間明神祠」および『延喜式』所載「浅間神社」の論社。歴代領主から信奉され、江戸期は将軍家祈祷所に。周辺に100軒をこす御師坊が連なり、富士登拝の拠点として賑わった。◆所在地/山梨県南都留郡富士河口湖町河口1。主祭神/浅間大神。社格/式内論社、旧県社。

北口本宮冨士浅間神社
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北口(吉田口)の起点にあり、富士講から崇敬された。社記曰く日本武尊が富士山を遥拝して大鳥居を建て、後里人が小祠を建てた。他方『甲斐国志』は二合目の冨士御室浅間から勧請したと紹介。◆所在地/山梨県富士吉田市上吉田5558。主祭神/木花開耶姫命・瓊々杵命・大山祇神。旧社格/県社。

冨士御室浅間神社
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富士山2合目に本宮、河口湖畔に里宮が鎮座。本宮は文武天皇3年(699)、里宮は天徳2年(958)創建と伝える。戦国期は「御室」「富士山北室」などと称し、武田氏歴代から祈願所として厚遇された。◆所在地/山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3951、3953。主祭神/木花咲耶姫命。旧社格/県社。

冨士浅間神社
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須走口の基点にあり、「東口本宮」と号する。社伝によると、延暦21年(802)富士山噴火時に鎮火祭事が行われた跡地に、大同2年(807)社殿が造営された。一方、江戸期は空海開闢と称し、「弘法寺浅間宮」とも号した。◆所在地/静岡県駿東郡小山町須走126。主祭神/木花開耶姫命。旧社格/県社。

村山浅間神社
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富士山表口の旧登山道・村山口に鎮座し、「富士根本宮」と号する。江戸期まで表口登山道と山頂大日堂およびその付属地を支配した富士山興法寺(本山派修験)の主要堂社のひとつ。神仏分離により神道へ属した。◆所在地/静岡県富士宮市村山1151。主祭神/木花之佐久夜毘賣命。旧社格/県社。

(・・・以下、郷社を作成中)
参考文献 各社頁と同じ
(フォト最終撮影日:各社頁と同じ)
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