龍水山医王寺 薬師堂
医王寺(富士市比奈)の本堂脇から石段がのび、左右にはためく赤い奉納旗を見ながら上っていくと薬師堂につく。尊主は木造薬師如来坐像(市指定文化財)。平安後期作と推定される古仏で、界隈では「眼病に霊験あらたかな薬師さん」と親しまれている。
天保3年改築
永禄9年(1566)11月7日、駿河国主・今川氏真が医王寺に「須津庄今泉郷薬師堂免」として寺中分400文、仏供免2俵を寄進している。この「須津庄今泉郷薬師堂」が医王寺薬師堂―あるいはその前身―にあたると考えられ、同堂の史料上初見。
下って江戸後期の『駿河国新風土記』に「寺の東のほうに、石階61、寺よりも3丈計高き地にあり。此堂いつの頃の造営なりや、礎の高低に随ひて柱根長短あって古色存せり」と載る。このころには今と変わらぬたたずまいだったことがうかがえる。
いまの御堂は天保3年(1831)改築。大きな厨子に薬師如来をまつり、両脇の小さな厨子に脇侍の日光菩薩と月光菩薩、さらに後方のガラスケースに眷属の十二神将を6体ずつ安置している。
堂内には「め」と書かれた祈願絵馬や大願成就の奉納絵馬が多数掲げられ、向拝に獅子・象・竜・牡丹などの彫刻をあしらい、堂内随所にも亀や牡丹、菊花の彫刻がある。なかなか意匠を凝らした造り。向拝彫刻は伊州君澤郡八木澤の金刺忠兵衛の作である。
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参考文献 龍水山医王寺頁と同じ
(フォト最終撮影日:龍水山医王寺頁と同じ)